「本社の業績低迷とは対照的に、フィリピンの合弁会社は絶好調。設立からわずか3年で利益を出すようになった」とその成長ぶりに目を細める伊藤製作所の伊藤澄夫さん。
取引先の大手企業は海外に拠点を張り巡らし、各国から部品調達するグローバル化が加速している。「先見の明があったなんて悠長にふんぞり返っている余裕などない。なんとか本社を再生させないといけない」と話す。
合弁会社の好調要因は人件費と品質に尽きると伊藤さん。「アジア域内の人件費は日本の1/20、それに現地では中小企業だって優秀な人材はいっぱい集まる」というのが理由だ。
日本が蓄積してきた生産技術の空洞化も心配されるが、「オンリーワンの技術があれば、海外に進出する必要はない。独自の技術開発を急がないと存続さえ困難」と危機感を募らせる。