2001年1月号 商工評論社 
 

フィリピン子会社を増強し、ネットで世界中からの受注を目指す

順送り金型、プレス部品加工で独自の基盤を持つ伊藤製作所が2000年12月に創業55周年を迎え"ネットで世界中から金型設計の受注"を視野に入れて経営基盤の強化に取り組んでいる。改めて同社の生い立ちをみると、1945年12月伊藤製作所を創立。戦災による漁網機械の復興事業に着手した。57年、株式組織により(株)伊藤製作所を設立。

63年、順送り金型とプレス加工を開始、以来、プレス金型の専業メーカーとして鋭い時代感覚と技術力を発揮、順送り金型だけですでに7400型以上製作して内外に市場ニーズに対応している技術革新が同社の経営コンセプト。そのための設備導入は極めて活発だ。

例えば、自動設計CAD/CAM3台、マシニングセンター8台、ワイヤカット・放電加工11台、研削盤12台を主力にあらゆる工作機をそろえており、わが国における"順送り金型"専門メーカーとしては、生産力・高度の技術力・品質ともにトップクラスとの評価を得ている。

又95年12月、フィリピンに合弁会社イトーフォーカスを設立、2000年8月にISO9002を認証取得したのに続いて、同年12月には、フィリピンの子会社イトーフォーカスがISO9001の認証取得の予定。

同社では現在、8割が自動車関連だが、21世紀を迎えてIT関連の分野も伸ばしていく考えだ。この分野の設備投資は積極的に行っていく考えだ。
一方、フィリピンの子会社イトーフォーカスには大きな期待を寄せている。ここでは、順送り金型の設計製作、プレス部品の加工を行っており、コンピュータ、家電、自動車オーディオなどの部品を手がけている。顧客は日系、欧米の一流メーカーで、創業から3年近く経過した2000年6月から黒字化し、NC機械などの導入も積極的で、順調に推移している。

同社では同地における事業の拡大のため、フィリピンに15000平方米程度の工場用地を物色する方針で、いずれはフィリピンが主要な生産の拠点になると見ている。

そうした観念に立ってイトーフォーカスは設計者を教育、増員し、同社の設計部門であるイートンと連携し、インターネットを使って24時間体制で金型設計をすれば、国籍も関係なく、グローバルな展開(金型図面の販売)ができる。当然、当社も納期、価格で優位に立てる、と今後を展望している。

伊藤澄夫社長の敏腕発揮に寄せる期待は大きい。